臨床法制研究室

各種支援について

医療安全支援

 医療機関は死亡事例に遭遇する機会が最も多く、現在の日本では全死亡者数において約8割の方が病院で看取られています。生前より手厚く治療を施され家族に温かく見守られながら看取られることは誰しもの願いですが、予期せぬ疾病を発症し突然亡くなられる方々が多いことも実情です。医療事故はあってはならないことですが、入院中に突然疾病を発症したり、合併症の悪化で亡くなられる方々もおられます。その際に、医療機関が適切に対処できるよう、講演会やコンサルテーションを行っております。特に『死亡診断書の正しい記載方法』については、医療機関においても誤解や困惑が見受けられ、数多くご相談を頂いております。

 また、万が一医療事故が発生した際には、平成27年10月より施行された改正医療法によって、医療事故調査は各医療機関において院内調査を行う方針となりました。しかし、具体的な調査方針や調査の進め方など、各医療機関においてばらつきが認められ、対応に苦慮しているのが現状です。我々は特に、医療事故かどうかの判断根拠、警察への届け出の是非、診断書の作成方法、事故調査としての病理解剖手技、などを専門にコンサルテーションを受けております。

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死因究明支援

 死因を正しく診断することは、公衆衛生、死因統計、犯罪捜査の観点から極めて重要であり、日本では現在、死因究明の推進に関する法律によって決定された死因究明等推進計画が進められています。現代の日本社会において単身世帯の割合は増加しており、内閣府によると65歳以上の15%以上が単身世帯と報告されています。このような時代背景から、今後ますます在宅死や孤独死・孤立死される方々が増加していくことが予想されます。しかしながら、残念なことに現在の我が国においては、生前に患者として受診していた場合でも病院外で急死した際に対応してくれる病院はほとんどありません。我々は、大阪府警察から委託を受け、捜査の結果犯罪性はないが死因不明の方々に対して、検案及び剖検検査を行い、死因究明に努めています。

 監察医制度を除くと、日本における死因究明は一般的に大学の法医学教室を中心に行われています。しかし、専門医不足などで法医学教室のない都道府県もあり、日本における死因究明制度は不十分であると言わざるを得ません。一般病院において警察の委託を受け死因究明活動を行うことは、当研究室が日本初の試みです。

 死因究明活動を通じて、府民の皆様の安全な暮らしに役立てるよう努力して参ります。

 

主な死因究明活動地域

大阪府羽曳野警察署管内、大阪府八尾警察署管内、大阪府柏原警察署管内、大阪府守口警察署管内、大阪府門真警察署管内、大阪府旭警察署管内、大阪府鶴見警察署管内、大阪府城東警察署管内、大阪府都島警察署管内