糖尿病・内分泌内科
診療科の特色
基本情報
- 糖尿病・内分泌内科は令和5年4月1日より当院に新設された診療科です。
- 当科では糖尿病、脂質異常症、肥満症などの代謝疾患とともに甲状腺、下垂体、副腎などの内分泌疾患の診療治療を行います。
- 糖尿病の病態評価(病因、合併症)、知識習得および治療方針の決定のために、7-14日の入院をお勧めしています。医師、看護師、栄養士、薬剤師などの専門職スタッフが各職種の特徴を生かしてサポートさせていただきます。
- 内分泌疾患では各種血液検査、尿検査、画像検査にて診断を行い、治療方針を決定いたします。必要に応じ入院して、各種負荷試験を行います。
疾患の説明
糖尿病ってどんな病気
糖尿病は血液内のブドウ糖が上がった状態です。高血糖の症状として口渇、多尿、多飲、体重低下などが挙げられますが、症状を自覚されない患者さんもおられます。
高血糖が放置した場合、糖尿病合併症が緩徐に進行します。合併症も初期には症状がありません。このように糖尿病の発症と進行は自覚症状がはっきりとしないため、しばしば放置されます。その結果糖尿病合併症が進行しはじめて病院受診することが多くなります。しかし、早期に発見し、合併症が生じる前に適切な治療を行うことが重要です。
糖尿病の種類
糖尿病は大きく、2つのタイプに分類されます。
1型糖尿病と2型糖尿病についてここでは解説させていただきます。
①1型糖尿病
1型糖尿病では何らかの自己免疫的な機序でインスリンを分泌する膵β細胞が破壊されます。その結果膵臓からインスリン分泌の枯渇、血糖上昇から1型糖尿病を発症します。発症から病状完成にいたるまでの期間の違いから、劇症型、急性発症型、緩徐進行型などに分類されます。
治療としてはインスリン注射が基本となります。
②2型糖尿病
2型糖尿病は糖尿病の患者の90%以上を占め、一般的に糖尿病というと2型糖尿病をイメージされる方が多いです。2型糖尿病患者においては膵臓からのインスリン分泌の低下と諸臓器でのインスリン感受性の低下が起こっています。
インスリン分泌の低下を規定する要因で最も大きなものは遺伝的素因です。またインスリン感受性を規定する要因で最も大きなものは環境因子(肥満、過栄養、運動不足)です。結果として生じた高血糖状態はさらにインスリン分泌低下および感受性低下に悪影響を及ぼすという悪循環を形成し、慢性的な高血糖に到ります。また蓄積した内臓脂肪から動脈硬化を引き起こす悪玉物質が分泌され心血管合併症を引き起こします。
そのため2型糖尿病においては肥満、過栄養、運動不足などの生活習慣の是正し、インスリン感受性を上げることが重要です。そのために摂取カロリーの適正化、減量、適切な運動などを行います。それとともに、インスリン分泌を適正化する薬剤、インスリン感受性を改善させる薬剤を用いることにより血糖値の適正化を行います。病態によりインスリン治療が必要となる場合もあります。
糖尿病と検査
糖尿病の病態を把握する検査と糖尿病の合併症を評価する検査に大きく分けられます。以下に当院にて行う代表的な検査について説明します。
①血糖評価、病態評価に用いられる指標
血糖値:採血時の血中のグルコース濃度を見る検査です。
HbA1c(ヘモグロビンA1c):過去1,2か月間の血糖値の推移を把握するための検査です。
血中Cペプチド、尿中Cペプチド:膵臓からのインスリンの分泌能を評価します。
抗GAD抗体:1型糖尿病のときに高率に陽性となるため1型糖尿病の指標として用います。
②合併症評価のための検査
眼底検査:糖尿病網膜症の診断に用いられる検査です。
Cr、eGFR:腎のろ過能力を調べる検査です。
尿タンパク:糖尿病腎症の診断に用いられる検査です。
尿アルブミン:糖尿病早期腎症の診断に有用な検査です。
負荷心電図:主に運動負荷を行い、狭心症の診断に用いられる検査です。
頸動脈エコー:動脈硬化を調べる検査です、脳梗塞のリスクを評価することができます。
ABI:足の動脈硬化の程度を見る検査です。
さいごに
糖尿病のマネジメントでは血糖値、適正となった後も継続して行うことが重要です。食事、運動療法、薬物療法を組み合わせながら、必要に応じて治療内容が変わることがあります。治療の見直し、調整は必ず必要となってきます。
糖尿病のない健常者と変わらない生活の質と寿命を確保することが最終的な目標です。スタッフは長期的な血糖マネジメントのために、伴走者として継続して関わらせていただきます。
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