呼吸器内科

主な診療

慢性閉塞性肺疾患COPD

慢性閉塞性肺疾患は、Chronic Obstructive Pulmonary Diseaseを略してCOPD(シーオーピーディー)とも呼ばれます。
タバコや大気汚染など有害物質を、長年吸い込むことによって、肺への空気の出し入れがうまくいかなくなり、徐々に通常の呼吸ができなくなる病気です。

COPDの症状は慢性の咳嗽と、坂道歩行や階段症候など、体を動かしたときに息切れを感じる「労作時呼吸困難」が特徴です。

COPDは時に急性増悪と言われる状態になることがあります。
咳、痰、息切れなどの症状が急速に悪化する状態で、原因の多くは感冒などの気道感染が引き金になります。
重篤な場合は死亡することがあり、重症化にもつながりますので、早急な対応が必要です。
またCOPDの肺はもろくなっており、肺に穴が開く気胸という状態で急に呼吸困難が起こることがあります。
急な呼吸困難が生じた場合は、連絡の上すぐに受診して下さい。

喫煙は病気を進行させるので、禁煙が治療の基本になります。
感染による増悪を避けるために、インフルエンザや肺炎球菌ワクチンの接種が勧められます。
薬物療法の中心は気管支拡張剤(抗コリン薬・β2刺激薬・テオフィリン薬など)です。
急性増悪の時には点滴や内服のステロイドを使用することもあります。
どのように動いて行動をすると楽に過ごせるかを習得するために呼吸リハビリを行うこともあります。
残念ながら進行した肺を元に戻す薬はありません。今の呼吸機能をいかに維持していくかが重要です。

間質性肺炎

私達は、「呼吸」を行って生きています。
呼吸とは、吸った空気を気道を介して、肺の奥にある「肺胞」と呼ばれる部屋に運び、肺胞の薄い壁(間質と言います) の中を流れる毛細血管中の赤血球に酸素を送り、二酸化炭素を取り出す作業で、ガス交換とも言います。

間質性肺炎は、様々な原因からこの薄い肺胞壁(間質)に炎症を起こした結果、肺胞壁が厚く硬くなり、呼吸をしても酸素が血管の中の赤血球に届きにくくなる病気です。炎症が進むと肺が線維化を起こしてきますが、さらに進行すると肺が硬く縮んで、蜂巣病変といわれるような穴が出来ます。

特徴的な症状は、安静時には感じない呼吸困難感が、歩行中や入浴・排便などの日常生活の動作の中で感じるようになります(労作時呼吸困難)。痰を伴わない空咳(乾性咳嗽)で悩まされることもあります。長年かけて徐々に進行してくるので自覚症状が出る頃にはかなり病態が悪化していることがあります。
また、「急性増悪」といって、風邪様症状の後、急激に呼吸困難の状態となることもあります。

間質性肺炎の原因は、関節リウマチや多発性皮膚筋炎などの膠原病(自己免疫疾患)、職業上や生活上での粉塵(ほこり)やカビ・羽毛などの慢性的な吸入、薬剤、漢方薬、サプリメントなどの健康食品、特殊な感染症など様々です。
原因を特定できない場合もあり、その間質性肺炎を「特発性間質性肺炎」といいます。

診断には、既往歴・職業歴・家族歴・喫煙歴などを含む詳細な問診、肺機能検査、血液検査、レントゲンや胸部CT検査などを行います。
そして気管支鏡検査や手術などで肺の組織を取り、病理学的診断を行います。

治療は、病勢に応じて段階的に行います。
咳や痰には、症状を抑える薬剤で対症療法を行います。
根本的な治療には、ステロイドや免疫抑制剤、間質性肺炎の種類によっては抗線維化剤等を使用します。
それぞれ副作用が多数あり、注意を要します。
ステロイドや免疫抑制剤は免疫力を下げるため、感染症にかかりやすくなります。
感染症が病気の悪化の原因となるため、感染予防は重要です。
加えて、風邪の予防、禁煙、体重制限、規則正しい生活など、患者さん自身の日常生活の管理も重要です。

間質性肺炎の中には、残念ながら治療がなかなか効き難いものもあります。
治療を行いながらも徐々に進行していく場合もあります。

病気が進行し、呼吸で酸素を十分取り込めない場合には、在宅酸素療法といって日常生活で酸素を吸入する治療を行います。
必要であれば呼吸リハビリも行います。

また、風邪の様な症状の後、急激に呼吸困難となる「急性増悪」という状態を起こす事があります。これは、重症の場合、命に関わってくる事もあります。
咳がいつもよりひどくなったり、発熱、呼吸困難感が認められた場合は、早めに受診して下さい。

主要検査

画像検査

肺のレントゲン写真、CT検査などの画像検査を駆使して診断治療に結びつけています。CTは造影剤を用いる造影CTを行うこともあります。最近は撮影時間が短縮されて、患者さんも楽に検査を受けることができます。

呼吸機能検査

肺活量などの一般的な項目のみではなく、気管支拡張剤の吸入前後での検査による拡張剤効果をみたりすることもあります。精密呼吸機能では、息の吐き難さを示す残気量、酸素の取り込みの能力(肺拡散能)なども見ることにより、病態を明らかにしています。

呼吸器内視鏡検査(気管支鏡検査)

各種胸部疾患の診断、病態解明、治療方針決定に必要な検査です。特に、肺がん、結核をはじめとする感染症、間質性肺炎などの診断において気管支鏡下の生検(肺や気道の組織や細胞を採取すること)、気管支肺胞洗浄などが有用です。
基本的に2泊3日の入院での検査となります。検査前後には絶食となります。検査直前に嚥下反射・咳嗽反射を抑えるためにスプレーを用いて局所麻酔薬を喉に散布します。次いで、気管支鏡を経口的に挿入し、検査を行います。必要に応じて鎮静剤の静脈内投与を行います。なお検査時間は内容により異なりますが、約30分くらいです。抗凝固剤などは事前に中止しておくことが必要です。

終夜睡眠ポリグラフィー

睡眠時無呼吸症候群の診断、病型分類、重症度分類を行う検査です。夜間睡眠時に検査機器を装着して行いますので、1泊2日の入院検査となります。当日昼に入院、翌日午前中に退院となります。