小児科

主な診療

アレルギー疾患

気管支ぜんそく

 ぜんそくは普段から空気の通り道が種々刺激に敏感に反応する状態となっており、原因となるアレルギー物質(例えばダニ、猫、犬)やタバコの煙の暴露、感冒や運動などの刺激によって気管支が狭くなって、咳やぜん鳴(息を吐くときにヒューヒュー、ゼーゼーといった音がする)、呼吸困難を生じる病気です。治療は原因となるものを適切に除くことと、必要に応じた予防のための薬物治療が大きな柱となります。これらが適切に行えるようしっかりとお話しをうかがい、血液検査や呼吸機能検査などで病気の重さを判定します。薬物治療では主に吸入薬を用いますので、適切な吸入が出来るよう支援いたします。また特に重症な場合には生物学的製剤という注射薬を用いる場合もあります。薬物治療は長期に必要とする場合もありますが、納得して、そして安全に継続頂けるよう支援しております。

アレルギー性鼻炎

 アレルギー性鼻炎は小学生以上では概ね2人に1人が罹患しているという報告もあります。主にダニを原因とする通年性と花粉を原因とする季節性の二つに分類されますが、小児ではいずれも急増しています。アレルギー性鼻炎は日常生活の質を著しく低下させることが分かっています。また気管支喘息(ぜんそく)を患っている場合にはアレルギー性鼻炎を合併している頻度が高く、双方を見据えた治療が重要です。当科では耳鼻咽喉科・頭頚部外科と連携して積極的にアレルギー性鼻炎の治療を行っています。なおダニ、スギ花粉を原因とするアレルギー性鼻炎の根治が期待される舌下免疫療法については耳鼻咽喉科・頭頸部外科で実施しています。

食物アレルギー

適切な診断が最も大切です。このために血液検査だけではなく、積極的に経口負荷テスト(実際に食べて症状が誘発されるかどうかを確認するテスト)実施しております。その結果で原因となる食物を除去するようにします。単に除去を指導するだけでなく、安全量を摂取することでより早期に除去を解除できるようにもっていくこと、除去食を行っても十分で偏りのない栄養摂取が出来ること、さらに不安や誤解から生じている過剰な除去対応を早期に整理することを支援しています。最近ではより早期からの食物摂取が食物アレルギーの発症を予防する可能性も示されており、予防的な観点からの指導も行っております。

アトピー性皮膚炎

 アトピー性皮膚炎は乳児期から発症することが多く、当センターでは皮膚科とともに小児科でも診療を行っています。治療はスキンケアとステロイド外用薬が中心となりますが、近年は軽症や一部の中等症の場合にはステロイド外用薬以外の外用薬も積極的に用いられるようになりました。アトピー性皮膚炎を早期に改善させることはその後の再燃を抑制するだけでなく、食物アレルギーなど他のアレルギー疾患の発症を予防するためにも重要です。

その他の疾患

感染症

 原因となる細菌やウイルスを把握することで、より適切な治療に結びつけることができます。当科では最新の迅速診断を駆使し、例えばウイルス感染であれば抗菌薬の使用は控えるなどより適切な治療となるよう心がけております。呼吸器感染症で呼吸状態が悪い場合にはハイフローセラピーで呼吸を補助します。ハイフローセラピーとは専用の機器を用いて高流量の空気(必要に応じて酸素)を鼻腔から肺に送りこむ治療で、乳幼児でもあまり嫌がりません。以前であれば人工呼吸管理が必要であった状態でも、この治療で改善が期待されます。

慢性咳嗽

 一般に呼吸器感染症に伴う咳は2週以内に治まりますが、それ以上持続する場合は遷延性咳嗽(3週以上8週未満)、慢性咳嗽(8週以上)とされます。このような咳の中には感染症を契機としない場合もあります。原因は様々であり、このため的確な診断とそれに合った治療が必要となります。診断には副鼻腔X線検査、胸部X線検査や胸部CT検査、呼吸機能検査、細菌の検査を行う場合もありますが、何よりも重要なのは、いつから、どのような咳が、どのような時に見られるのか、これまでの治療内容といった情報です。受診される前にまとめておいて頂けると助かります。

川崎病

診療ガイドラインに則った診療を行います。もちろん積極的に心臓超音波検査を実施します。

熱性痙攣

痙攣はご家族をとても不安にさせますね。治療としては速やかに痙攣を治めることを第一に考えて対応します。

ホームケアパンフレット

症状別チャート

それぞれ症状が出た場合、どう対応すればいいかのフローチャートや、症状に合わせた対処法、相談先や連絡先などが一目でわかるようになっています。

ホームケアのポイント

それぞれの症状に対しての、ホームケアのポイントや、保護者の方からよくいただく質問などもまとめて掲載しています。

主要検査

アレルギー疾患の検査

血液検査や皮膚テストで病気が悪くなる原因となるもの(抗原)を検索します。

気管支ぜんそくの検査

  • 呼吸機能検査
    気道の状態を知るために行います。もしぜんそく性の変化が認められれば、気管支拡張薬を吸入し、どの程度改善するかをみることもあります。
    呼吸機能検査の一種で気道抵抗を測定する場合もあります。
  • 呼気中一酸化窒素濃度
    ぜんそくがどの程度活発な状態にあるかを見る検査です。
  • 運動誘発検査
    運動をすることでぜんそくが誘発されるかどうかを調べる検査です。事前に心電図検査を実施します。

食物アレルギーの検査

  • 食物経口負荷テスト
    読んで字の如く食べることで症状が誘発されるかどうかをみる検査です。疑いのある食物を食べますので、誘発される可能性がある症状への備えを行って実施します。
  • 皮膚テスト
    プリックテストという検査を行うことが多いです。皮膚において検査する食物がアレルギー反応を生じるかどうかを直接的に見ることができます。特に果物などの診断に有用です。

その他

一般小児科で実施される各種X線検査、CT検査、MRI検査、超音波検査(エコー検査)、心電図検査などが可能です。